研修会当日には取り上げられなかった質問について、柳澤先生からの回答を頂けましたので、掲載いたします。
なお、個別の事案と判断したご質問については、個人情報保護の観点から、一般化した質問へと改変させて頂いておりますので、先生の回答も一般化した内容となります。悪しからず御了承下さいますようお願い申し上げます。
質問にあるケースの言葉の裏には『働いてほしい』『いつか働けるはずだ』という親の思いや願いがあるのではないかと思われます。一方で、ひきこもっておられるご本人にとっては非常に不安となる発言でもありますので、慎重に対応される必要があると思います。あえてその話題には触れないことが必要な場合もあるでしょう。
実際に相続が発生した場合には、遺言書があるかどうかで対応が変わります。財産に関する遺言書がなければ、残された相続人で相談されると良いでしょう。遺言書がある場合、有効な遺言書であればその効力が優先されることになります。
障害のないお子さんに、財産のことや相続についての親の考えを話しておくことが大切です。不公平な相続となる可能性も含めて伝え、話合いをされると良いでしょう。
きょうだい仲が悪くなく信用がおけるなら、家族信託を検討されることも一つの方法となります。また、障害のあるごきょうだいについては、福祉施設や窓口とつながっておくと良いでしょう。将来、生活保護や施設の必要性が生じた場合に、検討しやすくなると思われます。
まずは現行のさまざまな制度の活用を検討し、可能な手段を試みていかれると良いでしょう。どうしても進まない場合の手段としては、「相続放棄」があります。資産がある場合はなくなりますが、もし負債があった場合にも支払い義務はなくなります。
ただし、故人が入っていた生命保険等については、お子様が受取人に指定されている場合には支払いを受けることが出来ます。